映画「八甲田山」イラスト、Corel Painter 2021で着色完了。

八甲田山 高倉健さんと北大路欣也さん
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劇中、高倉健さん演ずる徳島大尉が率いる弘前歩兵第三十一連隊の雪中行軍で、軍歌「雪の進軍」を歌うシーンが大好きです。
良い感じに編集されたこの動画がお気に入り。
youtu.be
キャプションの明るい笑顔の徳島大尉は、実は遭難中の神田大尉(北大路欣也さん)の願望による幻影です。この二人が生きて八甲田山で会う事はありませんでした…。
そしてこの「雪の進軍」。明るい曲調にも関わらず、内容はあまりにも具体的で悲惨。
以下、Wikipediaより歌詞を引用。
「雪の進軍」(ゆきのしんぐん)は、従軍軍楽隊員であった永井建子(ながいけんし)が日清戦争時に作詞・作曲した日本の軍歌。兵士の心情を生々しく綴った歌詞が特徴の歌である。
- 雪の進軍 氷を踏んで
何處が河やら 道さへ知れず
馬は斃れる 捨てゝもおけず
此處は何處ぞ 皆敵の國
儘よ大膽 一服やれば
頼み少なや 煙草が二本
- 燒かぬ乾魚に 半煮え飯に
なまじ生命の ある其の内は
堪へ切れない 寒さの焚火
煙い筈だよ 生木が燻る
澁い顏して 功名談
「すい」と云ふのは 梅干し一つ
- 着のみ着のまゝ 氣樂な臥所
背嚢枕に 外套かぶりゃ
背の温みで雪融けかゝる
夜具の黍殻 シッポリ濡れて
結びかねたる 露營の夢を
月は冷たく顏覗きこむ
- 命捧げて 出てきた身ゆゑ
死ぬる覺悟で 突喊すれど
武運拙く 討ち死にせねば
義理に絡めた 恤兵眞緜
そろりそろりと 首締めかゝる
どうせ生かして 還さぬ積もり
ja.wikipedia.org
特に4番の歌詞が、まさに日本人の特徴を捉えていると思います。
『武運拙く、死ねなかった。おめおめと生き残ってしまった。
ああ、義理にからめた慰問の真綿がそろりそろりと首を締めにかかる。
どうせ生きて還すつもりはないんだよな。』
…的な解釈です。おっそろしいたらありませんね。大日本帝国の魂ですね。
流石にこの歌詞は戦意を削ぐとのことで、太平洋戦争時代には歌唱禁止になったそうです。
この曲の私的キーワードは「義理に絡めた恤兵真綿」。
出ました、我々の大好きな「義理」ですよ。
先月から読み進めている本、ルース・ベネディクトの「菊と刀」の中で、日本人の根底にある物として「恥」「恩」「義理」が、これでもかと言うほど挙げられています。
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本来、自分自身の命を守ることが生命の本能なはず。
しかしその本能を凌駕するほどの「義理」と言う名の重み。いやはや恐ろしい。
勿論時代の特性もありますし、集団心理も働くでしょう。
しかしながら、この「義理」に囚われて身動きがとれなくなる経験は、誰しも一度は経験したことがあると思います。
まさに今、「義理」やら「恩」に足元をとられ、「恥」ることに恐怖を抱き、動けないでいる方もいらっしゃることでしょう。
我々日本人の最奥に根付いた文化は、おいそれと拭えるような物ではありません。
でも時代は変化してきているので、少しずつ自分らしさを取り戻せたら良いですけどね。
時々「雪の進軍」を口ずさんでいます。
お題「ゆっくり見たい映画」